アルファ/オメガ──続編希望?なSF小説

どうも、緒浅丸です。
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タイトル:アルファ/オメガ
著者名 :フランチェスカ・ヘイグ
初版発行:2015年9月15日
ページ数:511p
定価  :940円+税
出版社 :早川書房
形式  :文庫(ハヤカワ文庫)

1年半前、リアル書店で見かけたときから気になっていた本。設定を見る限り自分のツボにドストライクっぽかったんですが、結構分厚い本なので、積読が貯まっていることから購入を躊躇していました。そんな折、ネットで割と格安で売られていたので購入。しばらく積読にしていました。

著者のフランチェスカ・ヘイグ氏は、あとがきによるとオーストラリアの作家さんで、この作品がデビュー作だそうです。

核戦争から400年後の荒廃した地球で、人類は必ず男女の双子で生まれ、片方が死ぬともう片方も死ぬように運命づけられた世界で繰り広げられるファンタジックな冒険譚です。
生まれてくる双子は、どちらかひとりは正常ですが、もうひとりはなんらかの異常を持ち、正常児であるアルファは支配階級を構成し、異常児であるオメガは額に焼き印を押されて隔離されるという状況の中、外見は正常だが、未来を予知する異常能力を持ったオメガの少女の誕生が、やがてこの世界に驚くべき変革をもたらすことになるという内容です。

ぶっちゃけ、読んでいる最中は買ったことを後悔していました。
自分としては、須賀しのぶ氏の『ブルーブラッド』みたいな雰囲気の、宮廷内の権謀術数が渦巻く陰謀劇のような作品を期待していたのですが、北斗の拳やマッドマックスみたいな世界観で、ひたすら荒れ地を逃亡する話が続くのです。
期待外れで、なかなか読み進めることができませんでした。

ただ、最後まで読むと、意外な展開が待っていて、結構評価が上がりました。
なんで続編翻訳されないのかと思っていたら、まだ続編完成していない模様。

ちょっと残念な作品でした。

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。
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伊藤計劃トリビュート──未来を見据える最先端の日本SFアンソロジー

どうも、緒浅丸です。
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タイトル:伊藤計劃トリビュート
著者名 :早川書房編集部 編
初版発行:2015年8月20日
ページ数:731P
定価  :1140円+税
出版社 :早川書房
形式  :文庫(ハヤカワ文庫)

目次

まえがき
公正的戦闘規範          藤井太洋
仮想の在処            伏見 完
南十字星             柴田勝家
未明の晩餐            吉上 亮
にんげんのくに Le Milieu Humain 仁木 稔
ノット・ワンダフル・ワールズ   王城夕紀
フランケンシュタイン三原則、
       あるいは屍者の簒奪 伴名 錬
怠惰の大罪            長谷敏司

2007年に『虐殺器官 』で作家デビューしてから、わずか2年ほどで早逝した伊藤計劃氏へ捧げられた、日本SF最先鋭の著者たちによって紡がれた8つの物語を収録したオリジナルアンソロジーです。

僕自身は『虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』があまり楽しめなかったので、長編を3作ぐらいしか発表していない伊藤計劃氏へのムーブメントに意外な印象をもち、本当は気にはなっているくせに距離を置いているような感じでした。
ですが、昨年末にスマホの電子書籍で『伊藤計劃トリビュート』のお試し版を見かけ、ちょうど藤井太洋氏の『公正的戦闘規範』が読めるようになっていたので、DLして読んでみることしたのです。

藤井太洋氏の作品は『Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)』をはじめ、何作か読んでいて安心感がありました。(感想はコチラ
今回も、出だしこそ中国が舞台でちょっぴりとっつきにくかったものの、すぐに面白さにのめりこんでしましました。

ところが、お試し版で、短編まるまる読めるのかと思ったら、一番いいところで終わっている状態だったため、どうしても続きが気になり、どうせ買うならちゃんとした本がいいと思い、書店まで直行して購入した次第です。

本屋で見たら、普通の文庫本3冊分近い厚みがあってびっくりしましたが、コスパ的には超お買い得でした。

収録されているどの作品も骨太の内容で、殺伐とした雰囲気、ざらついた読後感で、虐殺器官っぽいテイストの話が多かったです。
(あと、『ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)』っぽい感じもしました)

それぞれの短評は以下のような感じ。

公正的戦闘規範
中国を舞台にした作品。現実世界の地続きの未来を描きつつ、伊藤計劃氏の『虐殺器官』のオマージュもしっかり感じさせるような作品でした。
ORUGANの兵蜂を操るアイパシャが、ファーストガンダムのララアみたいと思いました。

仮想の在処
この作品だけ、ちょっと雰囲気が違います。自分は未読だが、『ハーモニー』がこんな感じなのかも知れません。日本を舞台にしたVRの未来の話。

南十字星
アメリカを舞台にした話。
民族紛争とかよくわからないし、テクノロジーの内容もいまいち理解できなかったので、正直すごく読みにくかったです。自分がもっと読解力あったら楽しめたかも?

未明の晩餐
退廃した未来都市が舞台。
読みやすくて面白かったです。
主人公が(たぶん女性なんだけど)『ワンピース』のサンジを彷彿とさせます。(脚技は使わないけど)
子供たちのキャラも好き。

にんげんのくに Le Milieu Humain
南米やアフリカの未開の地を思わせる村を舞台にした物語。
ぶっちゃけこれもつまらなかったです。SFの設定はおもしろかったけど、原住民の生活とか興味ないし、って感じ。

ノット・ワンダフル・ワールズ   
未来と舞台にした物語。
3Dプリンタが進化した世界みたいな話で、設定がユニークだなと思いました。

フランケンシュタイン三原則、
       あるいは屍者の簒奪
 
昔読んだスチームパンクを彷彿とさせる物語。
19世紀に活躍した実在、架空の有名人がてんこ盛りで楽しかったです。

怠惰の大罪            
キューバを舞台にした話。
どこまでが事実を基にしているの判りませんが、ギャングの生活がやるせないです。
生半可なデストピアSFの未来より、よっぽど詰んでいる日常です。スナッフDVDのエピソードとか、無力感で溜め息と一緒に生命力が抜けるような感じでした。

全体を通してみたら、自分たちの暮らす世界より、一段階上のレイヤーからの監視・干渉みたいなのが、どの作品にも共通しているように感じました。
そういう意味では、自分はそんなに評価してしなかったSF作家のムーブメントに乗っからざる得なかった自分も、最先端かも? いつの間にか自己相を書き換えられているのかも知れません。
それでも、これまで知らなかった作家の作品に出会えたことは素直にラッキーでした。

分厚さにためらったSF好きの人は電子書籍からでもどうぞ。

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

『重力が衰えるとき』──イスラムSFハードボイルド

どうも、緒浅丸です。
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タイトル:重力が衰えるとき
著者名 :ジョージ・A・エフィンジャー
初版発行:1989年9月15日
ページ数:450P
定価  :1020円+税
出版社 :早川書房
形式  :文庫(ハヤカワ文庫)

20年近く前、『ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)』が登場してサイバーパンクムーブメントが吹き荒れていた頃、僕が好きだった作品が2つありました。
1つはウォルター・ジョン・ウイリアムスの『ハードワイヤード』、そしてもう1つが『重力が衰えるとき (ハヤカワ文庫SF)』です。
どちらも廃刊になっていたのですが、半年ほど前に、この『重力が衰えるとき』が復刊していることを知り、購入。
なかなか読む機会がなかったのですが、ようやく読了することができました。
著者のジョージ・アレック・エフィンジャー氏はこの『重力が衰えるとき』をはじめとするマリード・オードラーンを主人公をしたシリーズが人気を博し、『太陽の炎 (ハヤカワ文庫SF)』や『電脳砂漠 (ハヤカワ文庫 SF (992))』など続編を発表していましたが、第四弾を発表することなく2002年に亡くなっています。

この作品は、アラブの犯罪都市ブーダイーンを舞台に、不審な連続殺人事件を解決するため、酒飲みでヤク中の主人公が奮闘するサイバーパンクミステリで、イスラム電脳版『不夜城 (角川文庫)』な雰囲気です。

昔読んだときは、物語に引きずり込まれるようにむさぼり読んだ記憶があるんですが、今回改めて読んでみて、思ったほどスピーディーな展開じゃなかったな、と思いました。

また、以前読んだときは、ヒロインが元男で、性転換した女性という設定に眉をひそめたものですが、最近のいろいろな事件でイスラム教の事を知って読むと、パンクでアナーキーでクールな存在な気がしてきました。

犯人探しがメインですが、あっと驚くトリックがあるわけでなし、電脳イスラム世界の雰囲気を楽しむ感じです。

興味を持たれた方は一読してみてください。四半世紀が経過しても色あせない面白さがありますよ。

あと、復刊した表紙のイラストですが、スタイリッシュな前回のイラストも良かったですが、今回のイラストも、内容の本質が描かれている感じで引き込まれますね。


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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

アンダーグラウンドマーケット──「ITノマド」「一万円起業」のなれの果て?

どうも、緒浅丸です。
先日、自分のパソコンを、Windows10にUpDateしました。
別に今のまんまでも困らないけど、世の中の流れについていかないと、いつの間にか世間から取り残されちゃうかもしれないと思ったからです。
ちなみに、スマホは持っていますが、電子マネーとかはほとんど使っていません。
電車とかも、最近はカードが主流になりつつあるみたいですが、いまだに現金です。

さて、今日ご紹介する本はこちら↓↓ 近未来の日本のお話です。


タイトル:アンダーグラウンドマーケット
著者名 :藤井太洋
初版発行:2015年3月30日
ページ数:249P
定価  :1400円+税
出版社 :朝日新聞出版
形式  :単行本

目次
第1部 ヒステリアン・ケース
第2部 アービトレーター

ネットマネーをテーマにした作品に興味があったし、この著者のデビュー作を読んだ際も面白かったので、手に取りました。

著者の藤井太洋氏は、最初電子書籍でデビューし、その後日本SF大賞受賞した方です。

IT技術を軸に様々な未来を描かれている方のようですが、今回の作品は、ごくごく近未来に生まれるかもしれない、二つの経済構造をもつ社会の様子が描かれています。

移民の流入とともに浸透したデジタル仮想通貨が無税の地下経済圏を生む一方、「公平な税制」の名目で引き上げられた税金が、企業の正社員にならなければ地下経済に生きるしかないような極端な格差社会を生み出しています。

主人公は企業の外で働いている〝フリービー〟と呼ばれる存在で、ITエンジニアとしての技術を生かして、中小企業の取引を無税の地下経済圏で通用する仮想通貨でも可能にする仕事で報酬を得ています。

この本では2つの短編が収録されています。
大きな物語を想像していたので、導入編みたいな感じの小粒な物語だったのが意外でした。

ですが、決して面白くないわけではなく、近未来社会の様子がリアルに描かれていて、とても想像力を刺激されました。
リキッドグローブといった小道具や、全財産を持ち歩き、自転車で移動する主人公たちの様子などワクワクしました。
ただ、自分が地方在住だからか、移民でごった返す近未来の東京の様子に現実感が感じられなかったのは残念でした。

また、自分はいま簿記の勉強をしているんですが、電子マネーの決済による会計システムについて、イマイチ理解ができなくて、ちょっと面白さを損してるかも知れないと感じました。

自分は会社勤めの社会人なので、電脳日雇い人夫みたいな〝フリービー〟の生活になるかもしれないという切迫感はないけど、学生の人が読むと冷や汗をかくかもしれませんね。

普通の学生だった人がそんな風に転落する様子が想像つかないので、主人公が就職活動に失敗し、〝フリービー〟の世界に足を踏み入れるきっかけとなった前日譚とか読んでみたいと思いました。

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最後まで、読んでいただきありがとうございました。

『GENE MAPPER -full build-』──手の届く未来に視えるもの

どうも、緒浅丸です。
天気が良かったので、昨日は庭の植木を頑張ってきれいにしたら、筋肉痛で指がうまく動かなくなりました(--; 体力低下を感じずに入られません。

さて、本日2本目の記事は、SF小説のご紹介です。



タイトル:GENE MAPPER -full build-
著者名 :藤井 太洋
初版発行:2013年4月25日
ページ数:360P
定価  :700円+税
出版社 :早川書房
形式  :文庫(ハヤカワ文庫JA)

目次
第一部 拡張現実
1 Offer
2 Cafe Zucca
3 Internet Diver
第二部 ホーチンミン・シティ
4 Miss Nguyen
5 Kitamura
6 Office
7 Ho Chi Minh City
第三部 黒川さん
8 Farm Manager
9 Field research
10 Dong Duong Express
第四部 未来の顔
11 Kim's Bio Solution
12 Terrorism
13 Bio wapon
14 Fear Report

Epilogue

ネットでこの著者の他の書籍『アンダーグラウンド・マーケット』画紹介されていて興味を持ったものの、単行本で高価だし、どんな作風を書く作者かわからないしと躊躇していたところ、図書館でこの作品を見かけ、お試しのつもりで借りてきました。

著者は、国際基督教大学を中途退学後、舞台美術やDTP制作、展示グラフィックディレクター、ソフトウェア開発を経て、現在はフリーランスで活躍されている方。2012年に電子書籍個人出版でこの作品を発表して一躍注目を浴び、それを契機に商業デビューしました。

この作品は、フルスクラッチで作物を作れるほどの遺伝子工学や、現実と見分けられないほどの拡張現実が当然のものとなった2037年を舞台に、遺伝子設計した稲に異常が発生し、その遺伝子をデザインした主人公が、東京からカンボジアに向かい原因究明のため奔走する様子を描いたハイスピード・ノベルです。

遺伝子SFだと思っていたので、以前読んだ瀬名秀明著『パラサイト・イヴ (新潮文庫)』みたいな感じを予想していましたが、いい意味で期待を裏切られました。
以前読んだ芝村裕吏著『この空のまもり ハヤカワ文庫JA』や、星新一著『悪魔のいる天国 (新潮文庫)』に収録されている「肩の上の秘書」を連想させられる拡張現実の描写が魅力的で、手の届く未来の技術に対するリアルさにワクワクさせられました。
また、防護服の感情制御では、最近復刊したジョージ・A・エフィンジャー著『重力が衰えるとき (ハヤカワ文庫SF)
』や神林長平著『敵は海賊・海賊版―DEHUMANIZE (ハヤカワ文庫JA)』シリーズなども思い出しました。
さらに、登場人物も魅力的で、物語の中に収まりきらない面白さのエネルギーを感じました。

この著者のほかの作品も読みたくなりました。

SF好きならオススメの1冊です。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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小学生の子供を2人持つ40代のサラリーマンです。
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